地区医師会の雑誌に「随筆」というコーナーがあるのですが、長年カープに関する記事を投稿されていた先生がお亡くなりになったため、しばらく空席になっておりました。編集委員の先輩から書いてみないかと勧められて、思い切って拙文を投稿しました。
アレルギーについてということでしたが、専門的にはあまり書くことが思いつかなかったので文明論・人口減少もからめた未来論へ無理矢理飛躍させました。
内容のうち、何かお役に立てることがあればと思い本ブログにも掲載することとしました。

 

「アレルギーから文明、幸福を考える」

アレルギーは悪なのか?

スギ花粉症は悪なのか?

スギ花粉は植物の繁殖機能の産物である。ちなみに日本で過剰に増やしたのは人間である。

世の中に「悪」というものは存在しないともいえる。すべては原理原則のバランスに基づいた現象である。

「悪とは、苦しんでいる善である」という人もいる。(カリール・ジブラン「預言者」)

核兵器はある一つの物理機構である。使用される組織にとっては害だが、所有・使用する組織、国にとっては自己愛を伴う。

アレルギーは「文明」という生活の発展に伴って生じた副産物である。古来必要とされた免疫機能が、現在の過剰に清潔な生活環境、スギ花粉などの人工的生産物過多によりバランスの変化をきたし不快な炎症反応を生じているのである。

現在世界的に取り組まれている環境問題も文明の産物である。

文明とはなになのか?

辞書によると人類の生産・整備活動により 物質的・精神的に生活が豊かになった状態ということである。

では文明を生じる原動力は何なのであろうか?

民衆の生活の豊かさに対する欲望なのか?それとも財を得るために豊かさが生産・需要喚起されることなのか?

どちらともいえるのではと思える。

文明が発達した結果、アレルギーや環境問題など弊害が絶えない世界になってしまった。

医療については各種検査や治療が発達し、多くの疾患の対処は時代とともに改善している。

しかし個人の生活は健康からかけ離れ疾患が生じ、昔より高度な医療が施され延命し、人格的な機能が損なわれても生存して医療コストが増大している。

環境問題においては解決と称して新たな産業が生み出されており、文明の弊害でありながらそれが文明に再利用されている。

冒頭に述べたようにすべては万理のバランスに基づいた現象であり、そのバランスに従いながら問題を解決していかなくてはいけない。

文明が人間の欲望に支えられている以上、バランスを改善するのであれば欲望以外の価値基準を適用していかなくてはいけない。

ブータンでは国民総生産の代わりに真の幸福を示す指標として国民総幸福量(GNH)が提案された。

本稿においては、ひとまずバランスを具現化した状態としてありきたりだが「調和」という表現を用いたい。

ここで脱線するが、特に毎年8月にヒロシマで叫ばれる「平和」という言葉があるが、これは宗教や概念上のみ、あるいは個人レベルで思索することができる状態であり、特に国際社会で実現することは不可能でありファンタジーにすぎないと個人的には考える。対して「調和」は全ての現実社会で存在しうる理想的状態であり、「平和」を「調和」に置き換えることを推奨したい。

医療については近年「調和」から外れているが病気はまだ発症していない「未病」という状態が診療対象として注目されているが、アレルギーについても理想的には「未病」の概念にも注目した「調和」を目指すべきと考える。

すなわち過度な清潔やある特定のアレルゲンが吹き溜まりになる環境やアレルギーを促進する酸化作用が生じる生活を避ける、抗酸化物質を十分に摂取するなどがあげられる。そのうえで生じたアレルギーについては抗アレルギー薬や体質を改善する免疫療法を施すのである。

しかし、欲望に基づいた文明の吸着力から逃れるのは容易ではない。

文明を生み出す側は富を蓄積し、世界の超富裕層上位1%が世界の個人資産の4割を独占している。

逆の貧しい立場の人たちは負の吸着と言うべきか、文明を取り上げられた形で貧困層に追いやられるか、文明に支配される形でネット世界、低レベル消費生活に囲い込まれる。

この2者両端の世界は文明の本質に関わるところがあるが、話が大きくなりすぎるので本稿では触れない。

アレルギーを生じにくいバランスの生活に話を戻すと、これもありきたりであるが自然回帰という方向性が必要になる。

土壌などの細菌に触れ、バランスの点で豊かな食物を摂取し、穏やかな精神状態を得るのである。

究極的には野山の中で仙人のように生活できれば完璧であるが、社会性からそうもいかないのでそこは最先端の文明をバランスよく利用するのである。

インターネットやいわゆる人工知能、ロボットなどを生活に必要なだけ導入する。

心身を整えるために自然環境や屋内で先進知識と伝統療法が融合したトレーニングを取り入れる。

都会との対比という点で考えると、自治体や教育機関の努力は必要になる。

土台作りとして、若者が安易に都会に流入し文明に支配されるということを避けるために調和のとれた幸福の基礎となる人格的、文化芸術的素養などを豊かに育てることが望ましい。

その際海外の文化都市への留学など、最上級の知識・経験を得ることを援助してもよいかもしれない。

こういったことは少子化対策、Uターン推進として自治体で行われている地域がある。(内田樹編「人口減少社会の未来学」)

生活の基盤となる産業の誘致は最大の課題かもしれないが、現代ではインターネットの発達に伴い個人創業、海外を含めた遠隔企業とのチーム形成が一般化しており、自然回帰の生活には合致しやすいと思われる。そのようなキャリアを育成し、援助するしくみがあってもよいのではと考える。また先の内田氏の著書では地域で人手が不足している分野を副業として補完しあう形態があってもよいのではという記載があった。これを前向きに「健康づくり」「幸せづくり」として推進するしくみがあってもよいのではないだろうか。

自然回帰の調和のとれた生活がいったん主流となれば、そうでない生活は少子化の点から徐々に淘汰され、調和生活が拡大するのではという見通しを持ちたいが理想的すぎるか。その点は仮想現実など、文明の支配次第かもしれない。

以上調和のとれた生活について理想を述べたが、自然回帰するとわが広島県ではスギ・ヒノキ花粉への曝露が増大してしまうのでアレルギーの点では樹木の寿命が来るまでは文明に頼った既存の対策治療を行わなくてはいけない。それも現状のバランスなので致し方ない。

トータルのバランスが改善して笑顔が増えた生活になれば喜ばしい限りである。


今年も春の花粉症シーズンが始まりました。

今年から、注射でアレルギー反応を抑える「ゾレア」を開始しました。

ワンシーズンに、4週間ごとあるいは2週間ごとに皮下注射します。

血液検査でスギ花粉症の存在がある程度重症であることが証明されており、事前に他の治療が効果が十分でない場合に適応があります。

投与間隔や量を決める際にアレルギー体質の詳しい程度を調べる血液検査の追加が必要です。

効果は高いとされていますが、ネックは値段が高いことです。

投与間隔、量にもよりますが、3割負担で1か月4,444円~69,953円となります。(保険診療です。)

お子さん〜未成年の患者様は自治体の補助で自己負担額が少ない場合ことが多いので行いやすいです。

春の花粉症が重症でお困りの方はご相談ください!

(3年かけてアレルギー体質を改善させる「舌下免疫療法」も良い治療ですので、ぜひご検討ください!)

 

 


①なるべく外出をしない、人に会わない

 ☆飲み会などもってのほかです!!

②他の都市、県に移動しない!(ウイルスを持ち込まない)

③他の都市、県の知人・親類を呼び寄せない

  帰省もさせてはいけません!

ひさゆき耳鼻咽喉科アレルギー科 院長


ご存知の通り、三次市で新型コロナウイルスのクラスターが発生しました。

当院は当該施設から最も近い診療所であると思われますので、かなり緊迫した心持ちです。

すでに感染防護処置、待合の座席間隔、換気などの環境整備、電話再診の準備など対応は済ませております。

しかし耳鼻科診療所は感染の危険性が高い施設の一つですので、

急ぎの症状ではない方(耳垢、かなり以前からの鼻炎、難聴・耳鳴りなど)は受診をお控えになることをお願いいたします。

また一般的なことになりますが、

①体調を整え、頻回に手洗いをする

②拡大を避けるため、なるべく外出を控え、他の都市へ移動しないようにする(自ら都市封鎖を行いましょう)

また、他県からの親類を呼び寄せない。 飲み会などもってのほかです!!

③風邪に類似した症状が出た場合、まずは出来るだけ受診も控えて自宅療養をする

以上の心がけをよろしくお願いいたします!


先日行動指針を改定しました。

愛・・患者様、職員、それぞれを大事にしていくという方針を表しています。また、病気をいったん自分の分身として理解・愛し(大切にし)、治療しながらその病気に至ってしまった自分の体もより良くしていくという「未病への取り組み」の考えも反映されています。

理・・独りよがりにならないこと、利益や取り繕いのための正しくないごまかしなどを防ぐ心構えの意味があります。

飽くなき改善・・これは前行動指針から継続していますが、外せませんでした。変わらないことはすなわち後退です(周りが変化していくので)。少しずつ向上していけば、いつか最高の高みに到達できると考えます(ムエタイの教則本の著者のお言葉)。

 

 

 

 


このたびの豪雨による甚大な被害につきましては、被災された方々の生活が一刻も早く回復することを祈念いたします。

当院は馬洗川の氾濫の恐れがありました7月7日(土)に休診させていただきましたが、まことにご迷惑をおかけいたしました。

当院として、また院長個人として、微力ではございますがお役にたてることを行っていく所存です。

前回記載させていただいたとおり、未病にとりくむことにより「困っている方のお役に立つことはもちろん目指すが、その前に困らないようにしたい」ということが目標になっております。

災害についても、同じことを目指すべきかと考えます。

現在はもちろん被災された方の援助および被災地の復旧が優先ではありますが、その後は「困らないように」治水計画や建築計画の見直し、警報から避難のシステムの見直しを行っていただきたいと考えます。

また大事なことだと考えますが、4年前の豪雨災害から現在までの『「見直し」を行う』システムが適切だったか、その見直しも行っていただきたいと考えます。

政治家、お役人の方々どうぞよろしくお願いいたします。

 


大変ご無沙汰しております。

昨年11月に開院5周年を迎えました。

記念事業ということになるかもしれませんが、診療のきまりと院内体制の改善に取り組んでおります。今年中にいろいろ実行させていただくことになろうかと思います。

また、医療技術としては「未病」への取り組みを開始しております。

「未病」とは東洋医学での概念で、病気を発症してはいないがその前の段階として体の機能が崩れてきている状態を指します。予防医学とおおむね同じ分野でよいのではと考えます。

耳鼻科診療所を開設させていただき5年間治療に取り組むなかで、「病気を繰り返す」「病気になりやすい」「慢性的な症状がとれない」といった患者さんのライフサイクルにたいしての西洋医学の限界を感じてきておりました。

西洋医学は「悪いところがあればそれを取り除く、あるいは遮断する」という哲学から構成されているものが多く、「病気が起こらない体をつくる」という概念に欠けがちです。

そのため上記のようなサイクルに対してはその場しのぎの対策にしかならないことも経験してきております。

そういった状況のなかで、最近は漢方医学の勉強から発展した東洋医学の世界、および自分の健康づくりや息子との取り組みで始めた格闘技による運動の効果から「病気を起こさない体づくり、生活の改善」に取り組む必要性に気づかされました。

今後私としては病気の治療と並行して、この「未病への取り組み」を進めていきたいと考えております。


6月16日から18日まで、東京で開催されました第66回日本アレルギー学会学術大会に参加しました。

いくつか熱いトピックスがあり、講演会場は立ち見多数でした。

・アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法の最新知見

・重症喘息に対する抗IL-5抗体治療の効果

・数日前にニュースにもなりました、アトピー合併児に対する早期(6ヶ月から)の少量卵摂取の研究成果

など、最新の研究成果が大変勉強になりました。

これからも知識を更新して日々の診療をグレードアップしていきたいと思います。


おかげさまで11月6日に開院4周年を迎えることができました。
7日月曜日の朝礼では、改めて行動指針5「飽くなき改善」について触れ、現時点よりさらに診療技術、院内マネジメントを向上させていくことを目指すべきであるむねを説明しました。

「このままでよい」と満足してしまえば、発展する診療技術、変動する環境などについていけなくなり「後退」することになると考えております。

開院5年目をどうぞよろしくお願いします!

 


s1150009

10月23日に、私も大変楽しみにしておりました「第3回秋の院内コンサート」が開催されました。
幸いまずまずの天候にも恵まれた昼下がりに、ギタリストの上垣内寿光様に最高のソロギター演奏をたっぷりご披露いただきました。また、2部では暖かく豊かな歌声も披露いただきました。
スペイン、イギリス、南米と幅広い国の楽曲に加え、インド旅行からインスピレーションを得て作曲されたご自身の曲も演奏いただき、世界中を連れて回っていただいたような豊かな気持ちになることができました。
また準備に際しましてはご持参されたCDを展示させていただく台として医療器具収納台を設置させていただきましたが、そのままではステンレスがあまりに も無機質なので院長室のバリバティックカーテンを外して巻かせていただきました。また大変コーヒーがお好きだとのことで「近くにうまいカフェはありません か?」とご質問いただきましたが、近場にないため止むを得ず私の普段飲みのコーヒーをお出ししたりと、おはずかしながら大変親しく交流させていただきまし た。(次回お越しの際はとっておきの豆を用意しておもてなしいたします!)
今日も地中海沿岸の潮風と日差しのような(行ったことはないのですが・・)ギターサウンドの香りで意識が満たされております。
これより当院は繁忙期を迎えていきますが、この度の感動を糧に頑張っていこうとおもいます。
おいそがしいなか遠方までお越しいただいた上垣内様、聴きにきていただきましたお客様、そして休日ながら手伝ってくれました職員に感謝いたします。

<プログラム>
第1部
地中海風舞曲No.1(M.コロンナ)
禁じられた遊び(スペイン民謡)
バーデンジャズ組曲(J.イルマル)
第2部
ターレトンの復活
プレリュード
流れよ我が涙
戻っておくれ!(J.ダウランド)

アルハンブラの想い出(F.タレガ)
クリシュナのバターボール(上垣内寿光様)
アンコール
天使の横顔(上垣内寿光様)
鬼平犯科帳 ジプシーキングスのインスピレーション