ひさゆき耳鼻咽喉科です!今回は炎症を抑える「ステロイド」という薬物について紹介します。

耳鼻咽喉科では「ステロイド」を使う場面が意外と多くあります。「ステロイド」と聞くと、副作用が怖くてつい身構えてしまう方も少なくありません。ただ、そのイメージの多くは、飲み薬や注射薬を長期間・大量に使い続けた場合の話であることが多いです。耳鼻科で行う突発性難聴や顔面神経麻痺の治療は、期間を区切った短期間の使用が基本で、医師が体の状態を確認しながら安全に進めていきます。正しく理解して使えば、回復の助けになる心強い治療法です。今回は、耳鼻科でステロイド治療が必要になる代表的な病気と、使ううえでの注意点をまとめました。

どんな病気で使われるか

代表的なのは、突発性難聴、顔面神経麻痺(ベル麻痺やハント症候群)、重い花粉症・アレルギー性鼻炎です。突発性難聴は原因不明のまま突然聞こえが悪くなる病気で、内耳の循環障害やウイルス感染などが関わっていると考えられています。顔面神経麻痺は、顔を動かす神経がむくんで炎症を起こすことで生じます。アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜のアレルギー反応でくしゃみや鼻水、鼻づまりが続く状態です。

主な症状

突発性難聴では、ある日突然片方の耳が聞こえにくくなり、耳鳴りや耳閉感、めまいを伴うこともあります。顔面神経麻痺では、片側の顔が動かしにくくなり、まぶたが閉じにくくなることもあります。アレルギー性鼻炎では、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが続き、日常生活に影響することも少なくありません。

検査での特徴

突発性難聴では聴力検査で難聴の程度や左右差を確認します。顔面神経麻痺では麻痺の程度を評価する検査に加え、血液検査で糖尿病の有無やB型肝炎の既往を確認します。ステロイドを安全に使うために、持病の有無を把握しておく必要があるためです。アレルギー性鼻炎では原因アレルゲンを調べる血液検査が行われることもあります。

治療法

治療の進め方は病気ごとに異なります。突発性難聴では、ステロイドを高用量から開始し、数日から1〜2週間かけて徐々に減らしていく方法が一般的です。軽症では内服、重症例では入院のうえ点滴で行うこともあり、鼓室内注射が選ばれることもあります。この使用期間は数日から長くても数週間程度と短く、重篤な副作用が出るリスクは比較的低いと考えられています。顔面神経麻痺でも発症からできるだけ早い時期に内服や点滴を始めることが望ましく、抗ウイルス薬を併用することもあります。アレルギー性鼻炎では、鼻に直接噴霧するステロイド点鼻薬が第一選択のひとつです。近年の点鼻薬は成分が血液中にほとんど吸収されない設計になっており、全身への影響は極めて少なく、長期使用でも比較的安全性が高いとされています。ムーンフェイスのような全身性の副作用は、点鼻薬の通常使用ではまず起こらないとされています。

予防法・注意しておきたいポイント

内服や点滴でステロイドを使うと、体内の副腎皮質ホルモンの分泌が一時的に抑えられます。自己判断で急に服用をやめると、だるさや血圧低下などの体調不良につながることがあるため、医師の指示通りのペースで減量することが大切です。また、糖尿病や胃潰瘍、B型肝炎の既往がある方は症状が悪化する可能性があるため、治療前に必ず伝えておきましょう。医師は胃薬の併用や血糖値の確認など、副作用を抑えるための工夫をしながら治療を進めています。免疫の働きが一時的に弱まることもあるため、手洗いやうがいなど基本的な感染対策も心がけておくと安心です。点鼻薬タイプは安全性が高いとされていますが、漫然と使い続けず定期的に状態を確認することが望ましいでしょう。「ステロイド」という言葉だけで必要以上に怖がらず、正しい情報をもとに医師と相談しながら使っていただければと思います。

耳の聞こえや顔の動き、鼻の症状で気になることがあれば、我慢せずに早めにご相談ください。突発性難聴や顔面神経麻痺は、治療を始める時期が早いほど回復の助けになるとされています。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。

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